子どもに伝えたい日本語の話
先日、辞書で有名な金田一一族の孫、金田一秀穂先生の講演会に行ってきました。
杏林大学:外国語学部:学びがわかるインタビュー:金田一秀穂(教授)インタビュー
こちらの先生ですね。このページのTOP画像にいきなり「さしみ=死んだ魚の生肉」って書いてあって、すでに笑いしかないです。
講演会はなんと無料。水巻町ったら太っ腹です。福岡県に移住する人に超オススメ。
講演テーマ「子どもに伝えたい日本語」
来ていたのは95%くらいおじい様おばあ様たち。30代が来ないといけない話なんじゃないの?さっき移住は水巻へ、って書いたけど、やっぱり自己責任で(笑)
とはいえ、講演会の内容はめっちゃ面白かった。ほぼほぼ漫談でしたし、今の私たちに共感するところも多かったです。
講演会全体としては、「子どもは子どもらしく好きなことに取り組めばいい」という話。もちろん、そうだすよね。
あんまり書くと怒られるかもしれないので、いくつかキーワード的なところだけを備忘録的に書きます。でも、きっと中学生にも、そのお母さんにも共感してもらえる話です。
子どもは敬語を使わないように
「敬語」って、我々大人にも難しいですよね。私、塾で長いこと国語を教えていましたが、自分が正しく使えていると思ったこともないです。
先生が仰ったのは「敬語には、敬語を使う人も上品であることを示す効果がある。」ということ。ただ、言葉を使うことでその人の、言ってみれば社会的位置みたいなものが、評価されていくというのは大切な視点ですよね。それなりの人はそれなりの言葉遣いをしますし、逆もまたしかりです。
子育ての視点から大切なのは「子どもには敬語なんか使わせなくていい。」ということ。5歳くらいの子どもが「お父さん、私にはトミカを買っていただく権利があります。どうぞよろしくお願いいたします。」とか言い出すと、気持ち悪いですよね。
大人は、自分がセレブであることや上品であることを見せたいときに、しっかり敬語を使えばいい。それもブランディングで、その価値観を子どもには押し付けないことが大切ですね。
基本的に親
子どもが「本を読まないんです」「勉強しないんです」という話を、実際私もたくさん聞いてきました。でも、本当のところは先生も言われてたんですが、「子どもが本を読まないのは親が読まないから」なんです。(もちろん当時の私には、それを口に出す勇気はありませんでしたが。)
親が楽しそうに読書を続けていたら、子どもは読みたくなるものです。さっと聴くと子どもが悪いみたいに言う親もたくさんいますが、それはあなたの子でしょ?ってことなんですね。
子どもに読ませたかったら、大人が楽しんで読もう!ってこと。そして、子どもに本を与えてほしいということ。本の形をしたものが家の中にあることが大切だそうです。
努力は報われない場合もあると知っておく
講演会の中で会場が一番驚いたのは「努力は無駄」だと先生がはっきり仰ったことでした。やりたくないことに対する努力は無駄だということで、好きなことはなるべく早く見つけてほしいというお話でした。でも、好きなことを全うすることができるのは「運が良かったから」だと。それは「努力」とは関係ないことだと。
いや、たぶん、10年後20年後の働き方を考えたとき、それは本当のことです。やりたくないことを、嫌々やって給料が貰えるほど、楽な世の中ではなくなることは間違いありません。
言葉は不自由。特に子どもは自分の気持ちをうまく伝えることができない。
「感謝や謝罪の気持ちを伝えるとき、言葉だけだと不十分に思いませんか?」言葉はデジタルなもの、表現できるものを表しています。でも、心の中にある本当のところを、微妙なニュアンスも含めて表現できるすることは難しいです。
さらに子どもはその言葉の絶対量が足りないので、自分の気持ちをうまく表現することができません。本当の気持ちを自分の言葉で表現できないというのは、けっこうイライラする話です。「だから、身体表現に頼ってしまう。」なるほどですね。表現できればそこに喜びがあるわけですね。
それは大人も同じです。私もできていないです。実際に、できている人は少ないです。自分の気持ちを完全に言語化できる人はいないといっても過言ではありません。我々民間のカウンセラーが目指すところは、たぶんここです。自分の本当の気持ちに気付くこと。そしてそれを表現することができるようになること。
自分のことが一番難しいですからね。
そういえば、その意味で、この本、めっちゃ良かったです。
とまあ、かいつまんで書くだけでもこんな感じです。この話を、全編、漫談のようにお話しされました。マジで面白かったです。
どこかで講演会あったら行ってみては。オススメです。
追伸:だから、私のこんなブログを読んで、「大人にも自分のことをわかってくれる人がいたんだ!」と言って、不登校の生徒が学校に行くという嬉しいことがあったんですね。なるほど。あ、それ、↓この記事のことです。