オススメ本のご紹介 『疫病と世界史』
私、文庫が好きなんですよね。
小さくて、持ち運びやすいのがいいところです。ポケットに入る仲間みたいな。
長い旅を一緒にしてきた気がします。例えばこの本。
『疫病と世界史』著:ウィリアム・H. マクニール
おそらく、人類がスタートしてから今まで、戦争というものが無くなったことはありません。人々が争い続けた過程が、歴史そのものかもしれません。しかし、私たちはその戦争の勝敗が、なんによって決定づけられるのか。実際のところは、ほとんど知らないのが現状ではないでしょうか。
勝敗に影響を与えるもの。それは武器かもしれないし、戦略かもしれない。指揮官や兵隊たちの士気も大きな影響を与えるかもしれません。この本に書かれているのは、「病気の伝染」が大きな勝敗をわけたのではないか、ということです。
私が初めてこの本を読んだとき、あまりのびっくりに、眩暈がしました。今まで、戦術や武器の進化がすべてだと思っていたからです。例えば「ヒッタイトは鉄器を使ったんで強い!」みたいな。
疫病が戦争に与える影響
戦争とは人の移動の歴史でもあります。人が移動するとき、病気も移動します。予防接種などでもわかるように、人間は一度その病気にかかると耐性を獲得することができますが、人が移動した先ではその耐性を持っていない人が住んでいます。
例えば、アメリカ大陸の先住民の話。なぜ、アステカやインカ帝国は征服されたのでしょうか。たかだか500人程度の相手に対して。ここは原文を引用しましょう。
スペイン人が新大陸アメリカに侵入してきたとき、アメリカ原住民は天然痘などに為す術も無く犯され人口は20―25分の1に激減した。これは無理もない。ユーラシア、ヨーロッパ、アフリカ間の広大な土地がもたらす生物多様性の中で、繰りかえしの厄災をくぐり抜けてタフになったヨーロッパ人に比べると、アメリカ原住民はただの無垢なヒトにすぎなかった
疫病と人類の戦争
そのように、疫病の拡がりが、人間の歴史に大きな影響を与えました。しかし、今、大部分の疫病は人間の英知によって、根絶し、抑えこまれています。疫病と人類との、戦争の歴史だと言えるのかもしれません。その観点からみても、この本は詳しく、また、何より面白く、書かれていますので、おすすめです。
ぜひ一度読んでみてください。
追伸:ビブリオバトル行ってきました!
というプレゼンを11月27日に北九州市の八幡西図書館で。こんな感じです。
楽しかったです。自分の趣味を人に押し付けるのは、なかなか快感ですよね。また機会があったらチャレンジしたいですね!
で、 見事、『疫病と世界史』がチャンプ本に(*^_^*)
というわけで、みなさんも図書館に行きましょう!