ローカルフリーランス日記

北九州地方に住むフリーランス。話を聴く人。イベント作り。創業機運醸成、防災、街づくり、引きこもり支援、博物館、フードイベント、句会、古代史研究会など。昔のことは→ https://works.toiroha.jp/500

「今朝起きたら感謝しかなかった」 引退の時に、本当にそう言える選手がどれくらいいるだろう。

ちょっと一人のプロレスラーの話をしたい。

僕が知る限り、アメリカンドリームという言葉がこの10年で一番似合う男だ。

 

アメリカンプロレス

プロレスに詳しくない人は知らないかもしれないが、

世界で一番大きなプロレス団体は、WWE(World Wrestling Entertainment)というところだ。

WWE - Wikipedia

ちなみに、この団体の名称からもわかるように、プロレスはショーでありエンターテイメントだ。要は娯楽用の見世物ってことだ。

でもそこには、鍛え上げた肉体での戦い、様々な物語と、心を震わせるような感動がある。そこにあるものは、誰が何と言おうと、本物だ。

 

さらに余談になるが、

フォーブス集計「世界で最も高価値なスポーツイベント」10

フォーブス集計「世界で最も高価値なスポーツイベント」10 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

というランキングで、WWEの年間を通してのメインイベントである、「レッスルマニア」というイベントは、世界で5位。①スーパーボウル(アメフト)②夏季オリンピック冬季オリンピック④FIFAワールドカップ(サッカー)という、世界や全米が集まるイベントに、たかだか一企業のイベントが肩を並べている。それだけで、WWEとレッスルマニアの凄さがわかるというものだ。

 

私がとても好きなレスラーがいる。それが、ダニエル・ブライアン。

本名はダニエルソンらしいのだが、WWEではダニエルだったのでそのまま表記。

ブライアン・ダニエルソン - Wikipedia

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(写真はwwe公式サイト 以下記事よりl)

WWE | ニュース | 2016 | ダニエル・ブライアンが引退を表明

 

173㎝/86kgという、まあ日本だったとしてもレスラーとしてはとても小さい方だと思う。アメリカだったらもちろんのこと。

ここ5年くらいのWWEを支えたのは、明らかに彼であることは間違いないし、一番愛されたレスラーでもあったように思う。

彼が登場するたびに、観客は総立ちで「YES!YES!」のコールを続ける。両手の人差し指を天に向けて差し上げ「YES!YES!」と叫ぶ。とても幸せそうな顔で。

 

一昨年には、レッスルマニアのメインをはり、チャンピオンベルトを獲得するという、おそらく世界中のレスラーが憧れる頂点に辿り着いた。映画で言えば、主演男優賞のようなもんだ。

 

このときのレッスルマニアも、8万人くらい(うる覚え)の観客が、総立ちで「YES!YES!」と叫んでいた。もちろん僕もPCの前でYES!と小さな声で言いながら、両手の人差し指を天に向けたものだ。

www.youtube.com

 

引退表明

レスラーという職業柄と言ってしまえばそれまでなのだが、特に小さい体をカバーするようなファイトを毎回繰り広げることから、体に疲労が蓄積し、特に脳震盪を数えられないぐらい経験したことで、脳がかなり厳しい状態にあるということでの引退発表となった。

はっきり言ってとても残念で、プロレス界にとっても多大なる損害だろう。

 

引退発表の日、RAWという番組の中で、彼はこんな言葉を語ってくれた。

「プロレスやWWEやファンが悪いわけでは無い。俺たちは好きでやってるんだ」

「昨日まで怒りや悲しみいら立ちを抱えていたが、今朝起きたら感謝しかなかった」

「15年という時間を本当に好きなことをやり続けられたんだ」

 

本当に感謝なんだろうな、と思うと、胸にぐっとこみ上げるものがあった。

 

彼が愛された理由

ある日突然解雇されることがほとんどである、厳しいスポーツ業界で”終わり”を定義すること自体がとても珍しいものだ。それだけブライアンは愛されていたと言えるだろう。

 

彼が愛された理由は、

彼が誰よりもレスリングを愛し、ファンを愛していたことが、世界中のファンに伝わっていたことにあると思う。

 

もちろん先に述べたように、プロレスはショウであり、エンターテイメントだ。そこに作られた物語があることは事実。でも、彼の戦いからは、その会社に作られたストーリーライン以上の物語を感じることができた。

本当に好きなことを極め、努力を重ね、ファンに愛され、スポーツ業界の頂点に辿り着く。その物語。

 

WWEのファン達が持つ力

WWEのファンにいつも驚かされるのは、彼らは与えられたストーリーラインをエンターテイメントとして楽しみつつ、選手に正当な評価を与えることだ。それが、良い役であれ悪役であれ。

 

その目が肥えたファンたちだからこそ、ダニエル・ブライアンをここまでのレスラーに育て上げたのだと思う。

 

我々日本人は、レスラーだけでなく、野球選手や、サッカー選手、はては政治家までを、ここまで育てていくことができているだろうか。たぶんできていないのではないだろうか。与えられたコンテンツを選び、消費しているだけではないだろうか。

 

中学生に伝えたい

これからの日本を育てるのは君たちの役目だ。本当に良いものを選び、素晴らしい未来を作っていくのは君たちの力も、大いに必要だ。そのために、たくさんの経験をして、たくさんの物語に出会い、たくさんの知識を得てほしい。そしてひとりひとりが、より良いと思う行動を続けていくこと。

それが、日本、そして世界のより良い未来を作っていく。そう思う。

 

スポーツの持つ力

そんなことを、

とても幸せそうな引退式のブライアンとファンたちを見ながら、

ちょっとうるうるし、人差し指を天に向けながら、考えていた。

 

うるうるついでにこれも貼っとく。ここまで読んでくれた人は、5分19秒だけ時間をください。この動画をぜひ観てほしい。

お涙頂戴ではないのだ。これがスポーツの持つ力だ。

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ダニエル・ブライアンの、次なる人生が、もっともっとHAPPYになることを祈る。